「元請けとして仕事を受注したい!」
「販路開拓したいけどコストで不安がある…」
とお考えの建設業の経営者の方に向け、この記事では「小規模事業者持続化補助金」の活用を提案いたします。
目次
建設業における小規模事業者持続化補助金の利用
小規模事業者持続化補助金の趣旨は販路開拓や生産性向上に向けた取り組みの支援です。補助率は2/3で上限額は50万円ですが、枠によっては最大200万円が支給されます。建設業の方も小規模事業者であれば持続化補助金の利用は可能です。以下、持続化補助金における「小規模事業者の定義」や「補助金利用時の留意点」について確認しましょう。
※2023年度、インボイス転換事業者を対象とした特例で補助上限額が250万円となるケースもあります。
従業員数20人以下の建設業は要件に当てはまる
小規模事業者持続化補助金は小規模事業者を対象とする補助金であり、補助対象の要件は次の通りです。
対象事業者について・資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと
・直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
・開業届上の開業日が申請日より前であること
・同補助金の受付締切日の前10ヶ月以内に選考する受付締切回で同補助金の採択を受け補助事業を実施した(している)者でないこと
よって、従業員数20人以下であれば建設業の殆どは補助対象に該当すると言えるでしょう。ただし、従業員数には親族従業員、パートタイム労働者は含まれないこと、パートタイム労働者に該当するのは「1日の労働時間および1か月の所定労働日数が4分の3以下」もしくは「1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が4分の3以下」の場合に限られている点には注意が必要です。詳細は公募要領及び参考資料をご確認ください。
補助金利用時の注意点
補助金利用時には複数の注意点があります。例えば、「補助金は後払いであり経費の支払いにあたって必要となる経費は別途、自社で調達する必要がある。」等は抑えておくべきです。このような、一般的な注意点に関しては以下記事で解説しております。
また、小規模事業者持続化補助金の申請に際しては「補助事業計画」を策定し、その遂行の過程で発生する支出について補助を受けることが可能です。よって、通常業務において発生するコストをそのまま補助対象経費として申請するのではなく、「補助事業の定義」という段階を経たうえで補助対象経費を申請する必要があります。
「補助事業の定義」に関しては多くの事業者様にとって悩ましい箇所でしょう。当社では中小企業診断士の有資格者が相談を承っております。ぜひ、ご相談ください。
販路開拓の取り組み・補助対象となる経費について
小規模事業者持続化補助金は「販路開拓につながる取り組みの支援」を趣旨とします。よって、申請する側としては「自社が支出する経費が販路開拓にどう繋がるか」説明出来なければなりません。以下、実際の採択事例を踏まえ、建設業における「販路開拓の取り組み」のパターンや「どのような経費が補助対象になり得るか」について見てまいりましょう。
販路開拓の主なパターン
建設業における過去の採択事例を一部、抜粋したものが以下です。
・おうちSDGsリフォームの商品開発、及び販売促進事業
・新たな販路開拓チラシ拡販の取り組み
・資材・建築機械置場拡張による工事受注数の増加計画
・小規模民間工事に対応した建設機械導入とウエブによる販路拡大
・新規事業(モルタルアート建築事業)の周知・拡販活動
・何度も来たくなるような商談ルーム新設による顧客獲得事業
・CIMシステム導入により、3次元データを内製化して、ICT活用工事に本格参入
・建設資材の施工・加工メニューの充実と情報発信による差別化
・建設工事獲得のための3DCAD導入
・BtoB向け大規模木造建築事業の構築
出典:採択者一覧(第9回受付締切分) ※2022年9月20日公募締切分 採択者一覧 | 小規模事業者持続化補助金(一般型) (jizokukahojokin.info)
上記の採択事例を見る限り、建設業における販路開拓の方向性は様々であると分かります。
「チラシの作成・発送」、「ホームページ開設をはじめとした情報発信」は業種を問わず受注力強化のために有用な取り組みです。
一方、建設業の採択事例では機械装置の導入によって販路開拓を図る事例も見受けられます。例えば、「3D CAD導入」は「機械装置の導入」に該当しますが、顧客への図面提案において効果を発揮する可能性が高い取り組みです。
販路開拓における主な経費
建設業経営者の方が小規模事業者持続化補助金を利用した際、販路開拓における主な経費として以下の例が挙げられます。
建設業における持続化補助金利用時の販路開拓に係る経費の例・販路開拓等のための特定業務用ソフトウェアの導入費用
・チラシ・カタログの外注や発送にかかる費用
・郵送によるDMの発送にかかる費用
・広告宣伝用の看板の作成・設置にかかる費用
・自社サービスを宣伝するウェブサイトの制作費用
・インターネット広告にかかる費用
・イベント会場の借料
・補助事業用の機械装置の借料
・展示会出展やそれに伴う宿泊にかかる費用
・販路開拓のためのスペース確保を目的とした「死蔵の設備」の処分にかかる費用
建設業の方の場合、実績や技術を有しながら、それをアピールして受注に繋げる機会を確保できずに悩む事業者様が多数いらっしゃいます。よって、ホームページ制作のような取り組みは持続化補助金を活用した取り組みとして有用となり得るのです。
販路開拓における注意点
販路開拓の取り組みでは以下の通り3つの注意点があります。
販路開拓における注意点・通常の業務で用いる機械装置等は補助対象外
・商品・サービスの宣伝広告を目的としない販促品・看板・ホームページは補助対象外
・ウェブサイト関連費のみでの申請は不可
まず、「補助事業において必要」ということが説明出来なければ機械装置等は補助対象として認められません。
次に、単に会社概要や代表者プロフィールを掲載したのみのホームページなど、通常の営業活動で用いる販促品・看板・ホームページは補助対象外です。よって、補助事業において販促品・看板・ホームページを導入する場合、それらに「自社が補助事業で取扱う予定のサービス」に関しての記述が明記されている必要があります。
また、「補助事業外の通常の営業活動で用いるもの」は販路開拓において有用であっても補助対象外となることから、持続化補助金を利用した名刺の作成も不可です。
なお、ウェブサイト関連費のみで持続化補助金に申請することは不可となります。持続化補助金を用いたホームページ作成を検討する場合、ホームページ作成以外にも補助金の用途を検討しましょう。
機械を導入して販路開拓を図るパターン
通常の業務で用いられる機械装置は補助対象外ですが、工具等であったとしても「販路開拓に繋がる」・「補助事業において必要」という説明ができ、「公募要領においても『対象外であること』が明記されていない」ものであれば、補助対象となる可能性があります。その例を説明したのが以下の動画です。
動画の内容をまとめると、次のようになります。
動画の概要 ある電気工事業の方は順調に仕事を受注できていた。
→しかし、その工事にあたって必要な電動工具は自社で持たずレンタルしていた。
→レンタルにはコストが必要かつ、もしレンタルが出来なければ失注が懸念される。
→自社に電動工具を持続化補助金で導入し、仕事を受注しやすくする。
このように補助事業の内容を練り、販路開拓との関連性について説明出来れば工具も補助対象となる可能性が高いです。
業務効率化の取り組みについて
建設業における小規模事業者持続化補助金の採択事例には次のような内容もあります。
・IOT測量システムで効率アップと持続可能な建設業の働き方改革
出典:採択者一覧(第9回受付締切分) ※2022年9月20日公募締切分 採択者一覧 | 小規模事業者持続化補助金(一般型) (jizokukahojokin.info)
建設業では「販路開拓の取り組み」のみならず「業務効率化の取り組み」について言及した計画書が多いです。業務効率化の取り組みとして、どのような内容が検討できるか解説いたします。
IT活用がおすすめ
業務効率化の取り組みとしては「ソフトウェアを導入する」IT活用がおすすめです。その例として、参考資料には次のような記載があります。
<「IT利活用」の取組事例イメージ>
・新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する
・新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する
・新たに POS レジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する
・新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する
出典:令和元年度補正予算・令和3年度補正予算 小規模事業者持続化補助金(一般型)
・参考資料 r3i_koubo_sanko.pdf (jizokukahojokin.info)
業務効率化のための「ソフトウェア導入」が推奨されるのには「『IT利用』が採否の審査で評価されやすいため」という理由があります。補助事業に無理なくソフトウェア導入を組み込めるのであれば、ぜひご検討ください。
業務効率化の取り組みにおける注意点
業務効率化の取り組みについて検討する際、以下2点は補助対象外となります。
業務効率化における補助の対象とならないコスト・既に導入しているソフトウェアの更新料
・PCやその周辺機器(Wi-Fiなど)
PC等に限らず、「汎用性が高く目的外使用となり得る機器は補助対象外」ですので、注意が必要です。これらを踏まえ、申請内容を検討しましょう。
また、持続化補助金の補助事業計画中において「業務効率化」は「販路開拓」に伴って実施される必要があります。「販路開拓」についてまずは計画したうえ、「業務効率化」の内容を検討しましょう。
まとめ
常時使用する従業員数20人以下の建設業の方におかれましては小規模事業者持続化補助金の申請が可能です。申請に際しては補助金申請に関する基本的な注意点を抑えておきましょう。
また、小規模事業者持続化補助金の申請にあたっては販路開拓を志向した補助事業計画・支出についての検討が欠かせません。販路開拓についてはホームページやチラシの活用といった取り組みが代表的ですが、ホームページのみでは申請が不可であり、販促においては「自社」の宣伝ではなく「自社サービス」の宣伝が必要です。また、販路開拓に繋がるのであれば、機械装置等も補助対象となり得ます。
なお、申請に際しては業務効率化の取り組みについても検討の余地があります。その内容としては「IT利用」がお勧めですが、ソフトウェアの更新料や汎用性の高い機器は補助対象でないので注意しましょう。
補助金申請支援サービス詳細(料金等)
当社も小規模事業者持続化補助金の申請支援サービスを実施しております。料金については以下の通りです。
小規模事業者持続化補助金の料金体系着手金・・・1万円
成功報酬・・・申請予定額の9%(当協会の会員様の場合は8%)
- 着手金(実作業に入る前の段階でお支払い頂く金額)
- 成功報酬(補助金申請にあたって採択が決定した場合にお支払い頂く金額)
他社様の場合、同サービスの料金は着手金1万円、成功報酬10~20%となっているケースが多いため、当社は安価な料金体系で当サービスを提供しております。
また、上記の通り、当協会の会員様(無料会員も含む)には補助金申請支援における成功報酬をお値引きいたします。ぜひ、これを機会に当協会への入会をご検討ください。ご入会の手続きについては以下「問い合わせ」より「補助金申請支援サービスの相談」と併せて案内可能となっております。
なお、補助金申請支援サービスの詳細は以下より確認可能です。
お問い合わせの際には必須事項を入力頂いた上、メッセージ本文に「補助金申請支援サービスについて相談希望」の旨をご入力ください。お電話・オンライン面談等により対応いたします。お問い合わせの窓口は以下です。
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