創業計画書のセールスポイントには何を書くべきか?

「創業融資に申し込みたいけどセールスポイントに何を書けば良いの?」

創業融資に申し込まれた方で創業計画の策定時、以上のような疑問を持たれた方も少なくないと思われます。日本政策金融公庫の創業計画書・テンプレートにおいても「セールスポイント」の記入欄が見受けられますので、別紙で事業計画を作成する場合でも、「セールスポイント」の記述は必須となるでしょう。この記事では「セールスポイントの記入例として主に挙げられる内容」や、創業者の方の「セールスポイントの書き方」について解説いたします。

セールスポイントの主なパターン

セールスポイントの記入例として、どのような内容が挙げられるのかを以下、解説いたします。

前職の経験・人脈

セールスポイントの記入例として代表的なものが「前職の経験や人脈」です。

例えば、飲食店を開業する場合、飲食業での勤務経験があれば、それは自身が開業する飲食店においても活用できる強みとなり得ます。

ただし、一定の具体性は必要です。例えば、先ほどの例で「飲食業での勤務経験」という漠然とした強みをアピールポイントとするのではなく、

  • 勤務時代のお客様が来店してくれる可能性が高い。
  • 店長としてマネジメントに携わった経験から、料理についてのみならず広く店舗運営が可能。

といった書き方をすることで、自身の経営者としてのセールスポイントをアピールすることに繋がるでしょう。

また、前職の経験は日本政策金融公庫の創業融資において、特に注目される箇所だと考えられております。よって、セールスポイントの記入欄を用い、可能な限りアピールしておきたいポイントの一つです。

差別化に繋がるもの

セールスポイントの内容が独りよがりではいけません。創業計画書においては競合に対する差別化手段として「セールスポイント」を記入する必要があるでしょう。

例えば、行政書士として開業する場合、「行政書士の有資格者であること」はセールスポイントと言い難いでしょう。なぜなら、競合も同じ資格を保有していると考えられるためです。しかし、事業者相手のコンサルティング業務を展開する場合、行政書士の資格がセールスポイントになると考えられます。理由は行政書士の資格を「競合である無資格のコンサルタント」に対する差別化手段として説明できるためです。

ただし、上記の例はあくまで一般論を述べたに過ぎません。より詳細に書くためにはある程度、競合を分析する必要があると考えられます。

コストに関するもの

セールスポイントしてコストに関するものを挙げる例も散見されます。

例えば、「自宅の一室を事務所や在庫管理スペースとして扱えるため同業他社と比較して賃借料のコスト負担が低い」などが代表的な例です。

その他、飲食店を開業する場合では「お客様がセルフで食べ物・飲み物を運ぶ仕組みを構築することで従業員の業務負荷が減る(=オペレーションの効率が良くなりコスト負担が軽減される)」といった書き方も見受けられます。

コスト面のセールスポイントは「価格競争力」と換言される事項です。顧客から直接的に評価されるケースは少なく、見落としがちですが、「無理なく事業を運営できること」をアピールするため、可能であれば盛り込みたい事項であると言えます。

セールスポイントの書き方

実際に創業計画書中でセールスポイントを記入する場合、どのような思考プロセスを経てセールスポイントを記入すれば良いのかについて、以下、解説いたします。

3C分析を基礎として検討する

前述した通り、セールスポイントの内容が独りよがりではいけません。ここでは3C分析というフレームワークを用いた「自社を取り巻く環境の整理」を推奨いたします。

3C分析の3Cとはcompany(自社)、competitor(競合)、customer(顧客)を意味する言葉です。よって、3C分析においては自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)、競合の特徴、顧客のニーズの3つを整理する必要があります。

自社の経営資源に、競合が模倣できず、顧客から求められるものが見つかれば、それこそが「独りよがりでないセールスポイントだ」と言えるでしょう。

他欄との整合性を意識する

セールスポイントの記入にあたっては他欄との整合性を意識することも必要です。

当然ではありますが、担当の方はセールスポイントのみを見て融資の可否を判断する訳ではありません。創業計画書を記述する側としては多面的に評価される計画書を作ることが必要です。

例えば、「セールスポイント」にSNSのフォロワー数を書いたと仮定します。このとき、他欄でこの強みに関する言及がなければ、何のために「セールスポイント」を記述したのか分かりません。そこで、「販売ターゲット・販売戦略」の欄でSNSを用いた集客・販促活動について言及されていれば、「セールスポイント」欄におけるSNSのフォロワー数も「有用なもの」として認識されます。さらに、この例で言えば、「販促ターゲット・販売戦略」の効果が「事業の見通し(月平均)」の数値計画に反映されていることが望ましいでしょう。

このように、「セールスポイント」の欄と他欄との整合に限らず、創業計画書全体の筋が通っていることが重要です。

コーチングによる支援を受ける

創業計画書の作成にあたっては「第3者の目線を入れること」を検討されても良いかもしれません。

当社は計画書作成を支援してきた経験上、「的確に分析が出来ていること」と「それを言語化すること」の間には隔たりがあると認識しております。つまり、「引き出し(創業計画書上に書けること)はあるはずが、計画書の執筆が進まない」という事態が多々生じているのです。

そこで、コーチング的技法を用いたコンサルタントのヒアリングにより、「創業計画書の記述内容」を引き出すという手段が推奨されます。

この技法は「セールスポイント」の記入に限らず、「創業の動機」等、創業計画書全体の記入においても応用可能です。

「自身で創業計画書を作りたいが、ハードルが高く感じている。」とお悩みの方はぜひ、ご相談ください。

専門家に相談

まとめ

創業融資への申し込みにあたっては「創業計画書の作成」が必須です。そして、「セールスポイント」の欄に何を記入すべきかは創業計画作成にあたって、考慮すべきポイントの一つとなっております。

「セールスポイント」の記入例の一つとして「前職の経験・人脈」があり、これは担当の方が主に着目するポイントであるとも言われる重要ポイントです。次に、「セールスポイント」は「差別化に繋がるもの」である必要があります。何が差別化に繋がるかは「誰を競合として想定するか」によって左右されるものです。また、単に一般論を述べるのみならず、競合分析の結果を踏まえた「セールスポイント」の記入が望ましいでしょう。それから、売上向上・顧客満足度向上に繋がるものだけでなく、「コストに関する事項」も「セールスポイント」となり得ますので、見落としがないように検討することが必要です。

セールスポイントの記入方法としては3C分析というフレームワークを用いた記入方法があります。3C分析においては顧客ニーズ、競合の特徴、自社の経営資源の整理が必要です。顧客ニーズがあり、競合が模倣できない自社の経営資源があれば、それこそが「独りよがりでない『セールスポイント』」だと言えます。なお、創業計画書全体の質を高めるためにセールスポイントと他欄との整合性を図ることも意識しましょう。もし、創業計画書の作成が進まなければ、第3者の目線を入れたコーチングによる支援も有効です。当社も、創業融資の支援を承っておりますので、ぜひ、ご相談ください。

創業者の方は資金調達と共に「販路開拓」でお悩みのケースが多いと実感いたします。当社では「販路開拓」でお悩みの事業者様向けのコンサルティングも実施しておりますので、ぜひ、以下もご確認ください。

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